今日、世界中の組織がリモートでビジネスを行うことを学ばなければならない。社会的な距離が離れている今、同じ部屋にいられなくても仕事を続けていくには、新しい革新的な方法を見つけなければならない。

このことは、学習と能力開発の専門家にいくつかの興味深い課題を提起している。もちろん、バーチャル学習は目新しいものではない。組織は長い間、ウェビナー、eラーニングコース、その他のバーチャル学習の価値を認識してきた。バーチャル学習は支出を削減することができる。宿泊費や出張費をなくし、時間短縮にもなる。つまり、バーチャル学習はスケーラブルなのである。

とはいえ、バーチャル形式が全ての学習経験にとって十分ではないかもしれないというもっともな懸念が残っている。ワークショップ参加者の顔を見ることすらできない状況で、どのように参加者を効果的に巻き込むのか? バーチャル環境において、どのようにして人々に学習に対するアカウンタビリティを持たせ、行動の変化を成功させるのか? さらに重要なのは、対面で提供されるように設計された学習プログラムの影響力や勢いをどのように維持していくのか?

効果的なバーチャル学習の経験を生み出すためには、エンゲージメントが一番の課題である。
我々の経験では、過去に100%バーチャル化に興味を持っていた多くの組織は、学習者のエンゲージメント、つまりアカウンタビリティや行動の変化を懸念してその実現を躊躇してきた。
彼らの質問は、いつも同じである。つまり、どのようにして個人を参加させ、関心を惹きつけ、バーチャルな環境で学んだことを応用させるのか、ということである。
この問いに対する答えを見つけるためには、まず、バーチャル教室を運営する上での2つの主要な課題に目を向ける必要がある。
  1. 集中力散漫傾向
    残念ながら、バーチャル教室では、学習者は地球上で最も気が散りやすい場所の一つであるコンピュータの前にいることになる。したがって、ファシリテーターとしては、eメール、ソーシャルメディアのアラート、ニュースの更新などから学習者の注意を引きつけなければならない。関連性のあるインタラクティブなコンテンツの必要性は、これまで以上に大きい。
  2. 参加者のエンゲージメントレベルの不可視
    対面でワークショップをリードすると、学習体験がいかに魅力的なものであるかが一目瞭然である。学習者が熱心にうなずいたり、メモを取ったりしていると、ファシリテーターのポイントがしっかりと伝わっていることがわかる。また、表情を曇らせている場合には、バーチャル教室の雰囲気が悪くなっていることを示唆している。これらの非言語的な手がかりがないバーチャル教室においては、ファシリテータは、学習者のエンゲージメントを常に把握しておくために、新しい技術やテクノロジーを用いて、これまでとは違った考え方や行動をする準備をしておく必要がある。
最大の過ち
バーチャル学習に移行する際に組織が犯してしまう最大の過ちは、資料やフォーマットを新たに設計するのではなく、既存のものを再利用してしまうことである。実際には、バーチャルな世界での課題や期待は、対面でのやりとりとは大きく異なる。一方の環境でうまくいくものが、他の環境では成功する可能性が低いのである。
組織がバーチャル環境向けに設計されていない資料を使用する際に見られる典型的な問題には、以下のものが含まれる:
• 現実的な応用方法や行動変化のない情報共有。
• アクティビティの少ない受動的傾聴傾向。
• 学んだことを実践する機会の不足。
• エンゲージメントが低い、もしくは無い。
• 参加者がメール、ニュース、ソーシャルメディアのキャッチアップに時間を使ってしまう。

バーチャル学習環境でのエンゲージメント、アカウンタビリティ、および行動を促進する方法

効果的なバーチャル学習体験を生み出す秘訣の1つは、バーチャルなアカウンタビリティを構築することである。これは単に学習者を惹きつけることではない。それは、学習セッションを通じて、参加者全員にアカウンタビリティを持たせることである。
コーン・フェリーでは、3部構成のバーチャルアカウンタビリティモデルを使用して、バーチャル教室とコーチング体験をデザインする:
  •  言語的アカウンタビリティ
    今日、多くのバーチャルコミュニケーション・プラットフォームでは、個人が異なるテーマについて話し合い、アイデアを共有することができるよう、人々をグループに分けることが可能である。
    これらの機能を使用して、参加者の発言へのアカウンタビリティを高め、高いレベルの参加を維持することができる。また、学習者には、ライブ環境のように、助けや説明が必要な場合に発言する権限を与える必要がある。
  • 視覚的アカウンタビリティ
    バーチャル環境では、視覚的可能性の幅が広い。レイアウトを変更したり、ビデオ、ダイアグラム、チャートなどの豊富なコンテンツを使用することにより、ビジュアルアカウンタビリティを向上させることができる。
  • 体感的カウンタビリティ
    効果的なバーチャル学習において、受け身な姿勢は重要な問題となりうる。そのため、可能な限り多くの交流の機会を設けることを目指すべきである。チャット、コールアウト(簡単な説明文の表示)、ポール(投票)機能はすべて、体感的なアカウンタビリティを高めるのに役立つ。
これらの3つのアカウンタビリティを中心に、バーチャル学習体験をデザインし、各領域が少なくとも1分間に1回活性化されることによって、高いエンゲージメントレベルの参加を達成し、真の行動変化を促すことができる。


効果的なエンゲージメントのための簡単なヒント

  •  参加者数は、ライブ体験と同じくらいにする。
  • 学習者に、(過度に騒々しい環境にいない限り)自分の通信ラインをミュートしないように依頼する。人々はしばしば忘れがちであるため、頻繁にリマインドする。
  • プラットフォームの各機能を活用して、コミュニケーションおよびエンゲージメントを促す。
  • 学習者にはいつでも声を上げて助けを求めるように促す。
バーチャル環境でコーチングの効果を最大化する3つの方法
バーチャルコーチングは、リモート会議ツールを使用して、電話またはオンラインで実施できる。以下の3つのアプローチは、対面でのコーチングと同じくらい、あるいはそれ以上のインパクトを与えるために役立つであろう。
  1.  安全なスペースの確保
    医師、弁護士、セラピストなどは、バーチャル環境において信用と信頼を築く方法を探さなければならなかった。コーチも同様である。コーチたちは可能な限り人間的で信頼されることを目標にしなければならない。そうすることで、極めて重要な親密さを築くことができ、学習のための安全な空間を作り出すことができる。また、多くの人がオンラインプラットフォームを介してコミュニケーションをとる際に、音声のみを使用する方が
    より快適であると感じていることも覚えておかなければならない。
    ビデオをオフにすることで、無意識のバイアスを減らすことができ、個人が互いの発話のトーンや内容のみに集中できるようになる。
  2. 視覚的合図の補償
    電話やオンラインでのコーチングでは、顔の表情や手振りなどの視覚的な合図を得ることができない。そのため、これまで以上に優れたリスニングが重要になる。効果的なバーチャル・コーチであるためには、相手が言っていることすべてに気を配りながら、自分自身が明確に理解されるように注意を払わなければならない。「今週、生活の中で何か素晴らしい事があったか?」や「その過程で何を学んだか?」などの効果的な質問をすることも、話し合いを刺激し、親密さを高めるのに役立つ。
  3. リソースの共有
    バーチャルな環境にいることで、対面でのミーティングでは得られないコミュニケーションの道が開かれる。ヒントシート、ビデオ、ブックリスト、カスタマイズされたオンライン資料など、セッション中やセッション後に使用する資料を共有することで、この機会を最大限に活用することができる。

ビデオと音声のみ、どちらが最適か?
オンライン学習体験をデザインする際に、クライアントからよく聞かれる質問である。堅苦しいルールはない、というのが簡単な答えである。ビデオコミュニケーションと音声のみのコミュニケーションにはそれぞれ利点がある。これらは、学習形式や参加者の好みに応じて異なる。
ビデオを使用する理由
  • ウェビナーなどの情報共有に便利である。
  • 特定の目的を果たすことができる。(例えば、セールスピッチの実行方法を示す、など)
  • 話し手の信頼性を確立する。

ビデオを使用しない理由

  • バーチャル教室では効果が低い。
  • 親密性が低い。
  • ファシリテーターが集中力を削がれることがある。

理論から実践へ

2020年3月、コーン・フェリーは、あるクライアントのハイポテンシャルリーダーシップ開発プログラムの一環として、3日間の対面による学習セッションを実施する予定であった。COVID-19の危機により、この対面でのセッションを早急にバーチャル設定向けに再設計しなければならなかった。

ここでは、効果的なバーチャル学習の重要な原則を設計プロセスに適用する方法について説明する:
  •  時間を短縮する
    同じ部屋で一緒に学ぶ3日間というのは充実した時間であるが、1人でノートパソコンの前に座ってセッションを受ける場合はそうはいかない。私たちが最初にしたことは、終日クラス3日間をアクション満載の半日クラス3日間へと凝縮することだった。
  •  工夫を織り交ぜる
    各半日のセッションでは、バーチャル・クラスルーム、ブレイクアウト・グループ、個別の課題など、学習者がさまざまな学習体験に参加できるようにした。
  • 学習者を惹きつける
    数分ごとに、学習者が積極的に参加し、交流する機会を設けた。また、セッション中やオフラインでも課題を与えた。
バーチャル設計ソリューション
FROM TO
全日3回の対面式セッション 半日のバーチャルセッションを3回
アジェンダ満載の終日コース ラーニングジャーニーに関連した、より短い、焦点を絞った学習モジュール
テーブルグループディスカッション バーチャルなブレイクアウトルーム
フリップチャート  バーチャルホワイトボード
ネットワーキング、リレーションシップ構築  交流を含めた構造化されたグループ・コンサルティングとピアコーチング
移動時間、費用、時差、夕勤 仕事と生活にシームレスに統合

学習と能力開発は、COVID-19の危機の間、社員を惹きつけ続けるための強力な方法である。それは、社員に対して、この困難な時期に彼らに投資し、サポートしていることを示すと同時に、能力開発を通じてビジネスを前進させることを示すことになる。

バーチャル環境に移行する場合、デフォルトではなくデザインに基づいて実施し、学習者のアカウンタビリティを築くことに重点を置くことが不可欠である。

これにより、これまで以上にエンゲージメントの高い、効果的な学習体験を実現することができるようになる。

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