経営環境が激変している1年

2020年、経営陣はリーダーシップ能力だけでなく、極端に不透明な状況において組織を運営できるかを試されている。

 

一地域だけの問題として始まった新型コロナウイルス(COVID-19)は現在ではほとんどの国に波及し、世界中の組織に影響を及ぼし痛ましい事態をもたらしている。すでに何十万人もの人が罹患し、何千人もの死者が出るなど、現状の医療サービスでは到底担いきれないほどの事態を生んでいる。多くの人にとってパンデミックへの対応は、これまで経験した中で最も重要かつ悩ましいものとなっている。何十億ドルもの損失(2020年末までに潜在的には1.1兆ドル、約110兆円に達するとまで言われている1)を与えるなど、世界の経済成長が著しく低下することは明らかである。

1 Oxford Economics Latest Global Outlook - 2020年3月/4月 oxfordeconomics.com/

COVID-19がアウトブレイクした段階で、組織は、従業員とその家族を安全に保ち、ビジネスの継続性を可能な限り確保するという、2つの等しく重要な事象に対処する必要が生じた。リーダーたちは、物資を確保し、不安に満ちた従業員の意欲を鼓舞し、目の前のことに対処しながら将来の計画を立てるために駆けずり回っている。

しかし、最終的には、他のブラックスワン的なイベントと同様に、ウイルスはいつか収束する。そして、その時に組織は準備ができている必要がある。

今日の混沌とした世界で、いくつかの組織は、危機に直面したときにリスクを予見し、それを軽減することに優れた力を発揮している。それらの組織は、回復力(レジリエンス)が構造として組み込まれているからだ。しかし、他の多くの組織にとっては混乱、恐怖、そして拙速な意思決定が蔓延することになりかねない。

残念ながら、ますます曖昧で変動し、かつ相互につながったこの世界では、今後も予期せぬ出来事がより頻繁に起こる可能性が高い。そこでは、リーダーはよりアジャイル(機敏)に行動し、透明性を発揮し、先を見据える必要がある。

これらの特性は、前半と後半で経営環境が全く異なる半分からなるこの2020年を舵取りする上での鍵となる。

前半は、安全、封じ込め、ビジネスの継続性、緊急時対応計画といったことに費やされる。アジャイルなリーダーシップの出番だ。ここで生産性を高く保つことができ、社員をエンゲージさせることができれば、後半のフェーズは、インセンティブ、採用、イノベーションを通じて世界経済の旺盛な需要を取り込むことに重きが置かれる。

組織が現状に対応し、リカバリー計画を実行に移すためには、絶え間ない混乱状態でも的確に運営する術を習得しなければならない。未知の時代に心に刻んでおくべきことがある。過去にうまくいったことが今後もうまくいく可能性は低いということだ。今も新しいワークスタイルが急速に形成されつつある。必要に迫られたことで人々はリモートワークに慣れ、ライフスタイルをも変革しようとしている。

この変化を許容するだけでなく、その中で成功する文化を構築できることが、勝者と敗者を分かつ。

これが意味するのは、目標設定と業績評価について別々に考えること、チームをモチベートすること、そしてリモートで働くすべての人がシェアードパーパスを確実に意識できるようにすること、などかもしれない。組織全体で奨励したい価値観や行動を意識的に実証するために、リーダーたちから積極的で共感的なコミュニケーションが求められていることは確かである。

必ずしも採用・定着計画を延期させる必要もない。困難な時代にあっては、組織の人材の質が究極の優位性となりうる。優秀人材の引き留めがかつてないほど重要になっており、今後の採用戦略は危機からの回復・復旧を視野に行われるべきだ。

最終的には、リーダーは変化する状況に迅速に適応する必要がある。すなわち、これまでの計画的で包括的なアプローチから、後半の回復フェーズにベースを移し、失われた時間を取り戻すことへ集中するというものだ。

それをどう実践するべきか、本プレイブックでコーン・フェリーのコンサルタントたちが知見を共有する。環境が激変する年の前後半を通して、タレントマネジメントと日々の業務遂行のための重要な検討事項をお伝えする。リーダーの一助となれば幸いである。

Michael Distefano,
President, Korn Ferry Asia Pacific

 

コンテンツ

リーダーシップ:
アダプティブ・リーダーの時代

企業文化:
変革事例のモデルケースとなる

エンゲージメント:
緊急対応からより強い回復力の発揮へ

業績と報酬:
危機における計画修正

人材採用:
強固な人材パイプラインの構築

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