コーン・フェリーでは2021年8月17日に「生涯現役時代の働き方とは」と題したオンラインセミナーを実施しました。その講演録をご覧いただけます。
講師:
コーン・フェリー・ジャパン
プリンシパル 川本 文人
■「生涯現役時代」はどんな時代になるのか
日本のビジネスパーソンはいったい何歳まで働きたいと思っているのか。川本氏は講演の始めに、参加者に「皆さんはいつまで働きたいですか」と問いかけた。選択肢は「①実はもうやめたい ②60歳まで ③65歳まで ④70歳まで ⑤75歳まで ⑥75歳以上 ⑦働けるうちはいつまでも」。結果は「⑦働けるうちはいつまでも」が最多だった。
「生涯現役という考えの人がもっとも多いようです。2021年4月の改正高年齢者雇用安定法で、企業において70歳までの就業機会確保が努力義務となりました。各種人口動態データをみると、70歳まで働き続けるとしても『現役負担指数』、いわゆる現役世代の負担感は今後増え続けることがわかっています」
川本氏は、国立社会保障・人口問題研究所データをベースとした、現在と2040年、2060年の予測データについて解説した。生産年齢人口(15歳~70歳の人口)は減少傾向であり、老年人口(71歳~の人口)は上昇から横ばいへ。老年従属人口指数(老年人口/生産年齢人口)は、70歳定年を維持すると負担感が増え続ける。
「老年者一人を現役が何人で支えるかという現役負担指数をみると、現在は3.07人で『騎馬戦』といえますが、2040年は2.39人で『大名駕籠』、2060年には1.83人となり現役一人で老年一人を支える『肩車』に近い状態になります。現在の3.07人を今後も維持しようとすると、現役であるべき年齢は2040年で74歳、2060年で78歳となってしまいます。この数字から見れば、企業には2045年前後ごろには75歳の雇用確保の努力義務が課せられてもおかしくありません」
次に川本氏は働き方についてミクロ的な視点を解説した。「いつまで働きたいか」を問う就業希望年齢の調査(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 「平成27年度 少子高齢社会等調査検討事業報告書」)によれば、「働けるうちはいつまでも」と回答した人が31.2%ともっとも多かった。ではこの「働けるうちは」とはどんな状態なのか。
「『働けるうちは』≒『健康なうちは』と捉えると、健康寿命が1つの目安になります。健康寿命とは、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間です。男女とも平均寿命と健康寿命の差は概ね一定のため、将来の平均寿命から将来の健康寿命がある程度予測できます。日本人の平均寿命と健康寿命を比べると、日本人男性では差は9歳前後(平均8.9歳)で一定、女性では差は12~13歳(平均12.5歳)で一定です(厚生労働省「平均寿命と健康寿命の推移」より)」
日本人男性の健康寿命は2050年ごろに75歳に到達する。女性は既に75歳に到達しているが80歳到達はまだかなり先だ。この先40~50年程度の時間軸で見た場合、男女差はあるものの、「働けるうちは」を「75歳」と捉えるのが現実的だ。
では、「働けるうち」は今後も働ける社会になっているのだろうか。高年齢者就業確保措置の決定状況の調査(令和3年4月発行労政時報「令和3年4月施行改正高年法への対応アンケート」)によれば、「義務化されるタイミングで決定予定」が34.6%ともっとも多い。現時点では、70歳までの就業も確保されているとは言い難く、「義務化」が待たれる状況だ。では「義務化」はいつ頃になるか。近年の傾向からは、「概ね20年に1度のペースで雇用確保が5歳延長」「雇用確保が努力義務から義務になるまでの期間は12~13年」となっている。
「70歳就業確保が義務化されるのは、2030年代前半ではないかと推察されます。更に75歳就業確保の努力義務が課せられるのは、男女差があるものの健康寿命も75歳を超えてくる2040年代、義務化されるのが2050年代頃ではないでしょうか」
就業確保が義務化されていなくても、社会的要請から現役負担をこれ以上重くしないために、「健康なうち≒75歳まで」は働くことが求められていくと思われる。
「これは仮定ですが、今後、現在55歳以上の人は10年分、40歳以上の人は5年分のキャリア長期化に向けた自助努力が必要になると思われます。これからの企業の従業員には、自助努力により働く機会を能動的に獲得していくことが求められるでしょう」
■日本人の働き方はこのままで大丈夫か
次に川本氏は日本における働き方の現状について、「教育の状況」「現役長期化の必要性」「学び直しの状況」「労働時間の状況」の4つの観点で、諸外国(英国、米国、フランス、ドイツ、韓国)と比較して解説した。始めは、教育の状況だ。日本における大学進学率の推移では、2020年で50%を超えており、少子化の影響もあり、大学進学率は上昇傾向にある。
「日本は高学歴化しており、諸外国と比べ、大卒者割合は比較的高水準です。しかし、修士以上になると日本の優位さは逆転します。人口100万にあたりの年間修士号、博士号取得者数は、日本は圧倒的に少ないのです」
次は現役長期化の必要性だ。これは高齢化率(65歳以上人口の割合)と密接に関係するため、各国で比較すると日本は諸外国の中でも極めて高い高齢化率となっている。
「このことが生涯現役、いわゆる現役の長期化が求められる要因といえます。日本は向こう30年、高齢化において課題先進国であり、この間は他国を参考にすることができません」
次に学び直しの状況だ。学び直し参加率(日本労働研究雑誌2020年8月号 「世界の変容の中での日本の学び直しの課題」)を比較すると、日本はおよそ4割で、6か国中で5番目。学び直しには消極的といえる。
最後は労働時間の状況だ。国際間比較(独立行政法人労働政策研究・研修機構 「データブック 国際労働比較2018」)では、長時間働く労働者の割合は、日本は2割程度で韓国に次ぐ高さとなっている。川本氏はこれら4つの観点による日本の現状をマラソンに例えて解説した。
「マラソンに例えれば、教育の状況は『事前練習の度合い』、現役長期化の必要性は『出場レースの長さ』、学び直しの状況は『レース中における栄養や水分補給の状況』、労働時間の状況は『ペース配分』といえます。そうすると今の日本は『必ずしも十分な練習をせず、世界最長のマラソンに出場し、途中で十分な給水も取らずに、ハイペースでとばしている状況』ではないか。日本は今、非常に危機的な状況にあります。ただちに働き方を変える必要があるのではないでしょうか」
■「生涯現役時代」に相応しい働き方
次に川本氏は「生涯現役時代」に相応しい働き方について解説した。現在、日本では週休3日制の議論が活発化している。日本で最初に週休2日制を導入した企業はパナソニック(当時の松下電器産業)だ。同制度が一般化したのは1980年ごろだが、同社の導入は1965年と非常に早かった。
「パナソニックは『1日休養、1日教養』を指針に、週のうち1日を学びに充てることで海外企業に勝てる仕事の能率を求めて導入しました。まさに今こそ、計画的な自己投資が必要ではないでしょうか」
では「生涯現役時代」に相応しい働き方とは何か。川本氏はそのポイントとして「主体的にキャリアゴールを再設定する」「定期的な自己投資を継続する」「働き過ぎに配慮する」ことを挙げる。
「先ほどの働き方における4つの観点でいえば、教育の状況では、既に社会人でありその挽回は学び直しで対応することになります。現役長期化の必要性では、走り始めた時とは距離が異なり、ゴールが異なることを理解し、主体的にキャリアゴールを再設定する必要がある。そして学び直しの状況では、定期的、継続的な自己投資(学び直し、副業等)を行っていきます。労働時間の状況では、働き過ぎに配慮し残業を減らすことが重要になります」
では具体的に、どのように「生涯現役時代」に相応しい働き方に改善するのか。論理的な順序は「①主体的にキャリアゴールを再設定し、②そのゴール実現に向け自己投資を行う。投資時間を捻出するために、③働き過ぎに配慮する」となるが、川本氏は実際の順序は異なると指摘する。
「実際の順序は『③働きすぎから抜け出すことで余裕を捻出し、②自己投資の中で試行錯誤を繰り返し、①キャリアゴールを模索し続ける』という順番になるでしょう。本業での働き過ぎを解消することで、将来について考える余裕を捻出し、それを学び直しや副業等、自己投資の時間に充てることが強く求められていきます」
では人材がいない中で、どのように仕事および労働時間を減らすのか。川本氏が現状について解説した。人口減少の中でも、75歳以上人口は2055年まで増加を続ける。健康寿命を超える年齢層のため、介護、医療等の1人あたり社会保障費は増大傾向となる。社会保障費の総額増は必至だ。社会保障費捻出のため、その源泉となるGDPの維持、向上は必須となる。新たに生み出すモノやサービスの総量は減らせないため、仕事の総量も減らせない。
一方、働き手となりうる15~74歳の人口は今後40年で約3分の2になる(9000万人⇒6000万人)。いくら就業確保年齢を伸ばしても、減少傾向そのものを食い止めることはできない。「管理する人」ではなく「手を動かす人」に絞るため、非管理職層相当年齢(~39歳)で見ても同様。働き手総数は減少傾向となる。
「この三つの事実を『GDP=労働人口×労働時間×時間あたり労働生産性』に当てはめるとどうなるか。GDPは社会保障費捻出のため、維持、向上が求められます。労働人口は就業確保年齢を伸ばしても減少傾向が続く。一方で労働時間は将来を考える余裕を捻出すべく、減らすことが求められる。そうなると、解決策は時間あたりの労働生産性を高めるしかありません。言い換えると、『人がいないから労働時間が減らない』と嘆いても、その状況が今後改善される可能性は低い。『人がいない中でどうやったら生産性を高められるか』と考えを改めるしかありません」
次に川本氏はキャリアゴールの再設定について解説した。人が定年後も働く理由は金銭的な理由のみならず、非金銭的な理由もある。例えば「社会との接点を持ちたいから」「健康維持のため」「働くことが好きだから」「時間があるから」「自分の能力や経験を活かしたいから」「社会貢献がしたいから」などだ。
「キャリアゴールを考えるときに、重視する視点、その中での優先順位は人により異なります。また、自分の眼鏡にかなう選択肢を見つけられても、実際にやってみるとイメージと違うということも十分想定される。だからこそ、セカンドキャリアを迎える前に、相当な期間の試行錯誤や準備が必要になるのです」
例えば、キャリアゴールを考える視点の例には、「儲かるか(経済的自立を助けるか)」「これまで培った能力や経験が活かせるか」「シニアがやるに相応しいか(年を重ねていることが強みになるか)」「やりがいを感じるか(それをすること自体で幸せを感じるか)」などがある。そこで重視する視点、その中の優先順序は人により異なっていく。
「中でも『儲かるか』をどの程度重視するかを考える上で、フィナンシャルプランニングの知識は必須となります。そのうえ『これだ!』と思った選択肢であっても、やってみると、意外と儲からない、楽しそうと思ったが意外とつまらないなど、イメージと違うことが多々ある。だからこそ、セカンドキャリアを迎える前に十分な助走期間を確保できる40代くらいから、相当な期間をかけて試行錯誤することが必要になります」
■「生涯現役時代」の働き方を支える人事施策
企業が従業員の生涯現役を目指すには、社員の自己投資を促す必要がある。そのためにはどんな人事施策が必要か。川本氏は「必要性認識の共有」「余裕の捻出」「情報提供」の3点が揃っていることが重要と指摘する。
「本日紹介したような日本を取り巻く状況を踏まえ、まず従業員になぜ自己投資が必要なのかについて認識を共有させます。そこで『自己投資せねば』という気にさせて気持ちに火をつける。そして、自己投資ができるような状態をつくらないと、行動にうつすことはできないので、余裕の捻出を促します。そのうえで情報提供し試行錯誤を手助けし、自己投資時間を有効に活用してもらいます」
ここで川本氏は余裕の捻出について詳細に解説した。自己投資を促すには「体力的」「経済的」「時間的」「精神的」な余裕が必要になる。そのために人事が支援できることは何か。
「具体策としては、体力的余裕では残業抑制施策実施、健康経営推進。経済的余裕では費用補助、自己投資の評価処遇連動。時間的余裕では残業抑制施策実施、休暇制度導入。精神的余裕では社内でのコミュニティ形成、トップからのメッセージ、ロールモデル育成、上司の率先垂範などがあります」
社員が外部機関によるリカレント教育プログラムを受講しやすい体制の構築、風土の醸成に向け今後取り組むことを検討している事項の調査(経団連「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」)によれば、そこで多かった回答は上位から「柔軟な勤務形態の導入」(時間的支援)、「社内外のリカレント教育プログラムに関する情報提供」(情報提供)、「受講費用の補助」(経済的支援)、「ロールモデルの構築」(精神的支援)、「リカレント教育受講者の紹介」(情報提供)、「プログラム修了者に対する待遇面での優遇制度の導入」(経済的支援)となっている。
また、社員が外部機関によるリカレント教育プログラムを受講や自発的な学習に取り組むための 「時間」の確保に向けて、会社としてどのような施策が必要かという問いで多かった回答は上位から「経営トップからの姿勢・メッセージ」(時間、精神的支援)、「業務プロセスの改善などによる労働時間削減」(時間的支援:残業抑制)、「研修受講や自己啓発等に利用できる休暇制度」、「研修受講や自己啓発等に利用できる時短勤務制度」、「研修受講や自己啓発等に利用できる休業制度」(時間的支援:休暇制度)となった。
「時間的余裕を生むには休暇制度の拡充だけでなく、残業抑制も重要度が高いといえます。また『経営トップのメッセージ』は時間的のみならず、精神的余裕にも大きく寄与します」
次に川本氏は残業抑制策において、実際に企業と4年間取り組んだカリキュラムについて解説した。カリキュラム内容は「仕事の段取り方」「仕事の任せ方」「会議の進め方」など、講義で紹介した生産性向上に資する武器を自組織において活用し、その効果を測定、発表するものだ。2ヵ月にわたる実践を2度挟みながら、プログラムでのインプット、自組織での改善実践を通じ、取り組み開始前と比べて労働時間がどう変わったかを検証した。
「2019年度の参加者の労働時間推移では、参加者自身(9名)の労働時間はプログラムを4月~8月で行い、1日あたり労働時間が平均1.0時間、年換算すると240時間を削減。2020年度はコロナ禍によりプログラムを8月~10月に短縮して行い、1日あたり労働時間は平均0.36時間(22分相当)、年換算すると86時間削減できました」
次に川本氏は、自己投資の評価処遇連動について解説した。経団連は学び直しの評価への反映を要請しており、「大学等が実施するリカレント教育に関するアンケート調査」で評価処遇連動の現状を調査している。既に「自己投資」を評価、処遇の面から後押ししている企業は1割、検討中は2割だが、今後は増えてくると思われる。
「ただし導入時には検討すべき事項があります。『どの層を対象にすべきか』『行動評価、業績評価どちらに反映させるべきか』『標準の基準をどういうレベルに設定すべきか』『評価段階をどのように設定すべきか』『どの程度処遇反映させるべきか』『処遇だけでなく昇格にも反映させるべきか』といった点について検討する必要があるでしょう」
では、自己投資でどの層を対象とすべきか。川本氏は、生涯現役に向けた自己投資の必要性が高い40代以上を対象とすることが望ましいと語る。
「30代以下では生涯現役に向けた自己投資より、今の仕事への習熟が重要です。上司が自己投資を率先垂範し、ロールモデルとなることで、部下も心理的安全性が保たれ、安心して取り組むことができます。ですから管理職以上で導入することが望ましいのではないでしょうか」
次に評価段階をどのように設定すべきか。一般的には評価項目ごとに基準を決めて、超えていれば加点評価(プラス評価)、下回っていれば減点評価(マイナス評価)を行う「加減点方式」となる。しかし、そこには問題もある。
「この場合、取り組もうとする社員は増えます。しかし、業務多忙な中で取り組む社員からすると、『自己投資時間も労働時間扱いか? 残業手当はつくのか?』と問われる可能性もある。加点方式(プラス評価のみ)の場合、何もしない人も一定数発生しますが、上記の様な問い合わせを受けるリスクは軽減されます。リスクの少ない中、ロールモデルを創出することを優先するとすれば、まずは加点方式(プラス評価のみ)を導入することが望ましいのではないでしょうか」
次は自己投資支援に向けた休暇制度だ。ヤフージャパンでは次のような制度を導入している。サバティカル制度(2~3ヶ月)では、自らのキャリアや経験、働き方を見つめ直し、考える機会をつくることで、本人の更なる成長につなげる。勉学休職制度(最長2年)では、キャリア施策の1つとして、普段の業務を離れて専門的知識や語学力をより集中的に取得できる機会を提供。社会人ドクター支援制度(博士号取得までの期間)では、データサイエンス、機械学習など先端のコンピュータサイエンス領域の博士号取得を支援する。
「週休3日制も時間的余裕を与える選択肢の1つです。この導入は賛成派が多く、自己研鑽を奨励している企業もあります。導入目的では『介護・育児など家庭配慮型』『副業・自己研鑽など奨励型』『働きやすさ向上型』『コロナ禍で雇用維持型』などがあります。自己投資をするにも余裕のない状態ではできません。さまざまな取り組みを組み合わせることで、社員が自己投資できる状態をつくることが人事に求められているのではないでしょうか」
■Q&Aセッション
Q.リカレント教育では大学で学び直す以外にどのような方法が考えられるか?
川本:一番イメージしやすいのは大学ですが、それ以外では専門学校で学ぶ方法もあります。リカレント教育を広義で捉えると、読書をするということも含まれると思います。だた、重要なことは「どこで学ぶか」ではなく「どう学ぶか」です。具体的には、ただ講義を聞くだけでなく、聞いた内容を踏まえて自身の意見を書く、話す、話した内容について他者からフィードバックを受ける等が重要となります。即ち、インプット中心ではなくアウトプット中心の学びを意識することが、大切なように思います。
Q.70歳、75歳まで雇用する努力は高齢者にとってはチャンスだが、それによる若手のモチベーションへの影響をどのように考えればいいか?
川本:難しい問題ですね。高齢者が社内に残ることで、若手に打席が回ってこないと思われる方もたくさんいらっしゃると思います。ただ、ここで重要になるのはシニアの方でも高いモチベーションを持って、若手の方と伍して一緒に仕事ができる環境を計画的につくることです。そのためにも、それに対応する評価制度や報酬制度を整備することが重要になります。年功序列の崩壊、定年後再雇用社員報酬の「同一労働同一賃金」化は、「年齢」という概念の希薄化に作用します。年齢によらず、担っている役割、その役割の全う度に応じた処遇を実現していくことが、今後益々求められるのではないでしょうか。