コーン・フェリーでは6月19日に「アフターコロナの人と組織シリーズ第2弾 ニューノーマルな時代に向け、人と組織はどう変わるべきか?」と題するオンラインセミナーを実施し、ニューノーマルな時代に適応するために人と組織はどう変わるべきかについて述べました。そのレコーディングとセミナー内で寄せられた質問への回答をご覧いただけます。

アジェンダと講師:

基調講演 ニューノーマルな時代に向けて/日本共同代表 滝波 純一

1.ニューノーマルな時代での組織の作り方/シニア プリンシパル 酒井 博史
2.コロナの影響を受けて変化する仕事とスキル/クライアント ダイレクター 岡部 雅仁
3.ニューノーマルな時代に求められるリーダーの姿/シニア プリンシパル 増田 智史

 

Q1 基調講演で「危機によって戦略、業務、役割の検証が進んだ」とありました。弊社は製造業で、生産部門以外は在宅勤務ですが、目前の問題への対処で精いっぱいで、検証や今後の方向性に関する議論の集約には至っていません。他社では短時間でどのように検証や今後の方向性を議論されているのでしょうか?

A1 いろいろなアプローチが存在しますが、業務・役割の検証の1つの例をご紹介したいと思います。ある日本企業の例ですが、この企業では、4月に「あるべきプロセスの再構築と業務の可視化」のためのプロジェクトチームを立ち上げ、このチームが中心となって進めています。可視化・検証には、トップダウン的なアプローチとして主要プロセスについてあるべきプロセスの検討と、ボトムアップ的アプローチとして各社員の仕事の可視化(主要な期待成果・アカウンタビリティーが何で、どれにどれくらいの時間・コストがかかっているのか、コロナの影響で支障が出ている業務は何か、など)の両面で取り組んでいます。分析・検討結果は逐次役員会に報告、社長以下全役員で議論され、新しい業務プロセスの設計と、継続する仕事・やめる仕事・新たに注力する仕事の仕分けが行われています。
ご質問に書かれている通り、片手間でできる仕事ではないと思いますし、経営の意思と、検討を進めるためのリソース投入が必須と考えます。(回答者:滝波純一)

 

Q2 「よりアジャイルな働き方」のスライドでおっしゃっていたような組織体制をご説明いただけないでしょうか?

A2 アジャイル組織では、まず機能横断的な9~12人以下の自己管理型のグループが基本単位(スクワッド)となります。具体的なミッションを果たすことを使命とします。そして、同じ事業領域で束ねたスクワッドの集合体をトライブと呼びます。トライブ・リーダーが各スクワッドの優先順位や予算配分の決定を担うため、トライブとスクワッドは縦型の組織構造と捉えられます。
その縦軸に対し、専門機能という横串での調整を図るのがチャプターとなります。スクワッドの枠を超えて、各スクワッドに特定のスキルや知見を持ったメンバーを派遣する組織です。
まとめると、縦のトライブと横のチャプターの交点にスクワッドが位置するマトリックス型の組織形態と言えます。(回答者:酒井博史)

 

Q3 能力開発の機能を有する横串機能「チャプター」に関して質問です。自社内だけでなく、他社コラボでの育成を考えていますが、情報の守秘義務などのコンプライアンスリスクにどう対応すべきでしょうか?

A3 契約(リーガル)面と教育面の両面でのケアが重要と考えます。
リーガル面は専門家のご意見が優先されることを前提としつつ、他社とのコラボレーションと守秘義務のバランスを図ることが肝要です。コラボレーションを極力阻害しないことを目指しつつ、知的財産など、双方でここだけは守りたいという対象を絞って特定することが望まれます。契約面での手当てに加え、実際のコラボレーションの接点にいる社員にはガイドラインの提示やそれに基づいた研修等の実施を通して、浸透を図っていくことが求められると考えます。(回答者:酒井博史)

 

Q4 アジャイル型組織において奨励したい具体的な行動モデルとは何ですか?

A4 アジャイル型組織において求められる行動モデルとしては、本セミナー内でセルフ・ディスラプティブ・リーダーとしてご紹介したADAPTモデルが適用可能です。ADAPTは、Anticipate(先見性)、Drive(活性化)、Accelerate(スピード)、Partnership(パートナーシップ)、Trust(信頼)で構成され、その中でどの要素がよりハイライトされるかは各人の担う役割によっても変わりうると考えられます。(回答者:酒井博史)

 

Q5 カルチャー変革にはキーパーソンを巻き込み加速させるとありましたが、キーパーソンの条件とはどのようなものですか?

A5 キーパーソンの条件として、いくつか要素があると考えます。
まず1つ目は、CEOの変革への思いに共感している/熱量を持っていることが不可欠であり、信頼できるリーダーが望まれます。
2つ目は、キーパーソン自身が変革への適応力を持った人材であることが必要です。これまでのやり方や考え方に固執する方が変革を推進することは難しく、セルフ・ディスラプティブな行動が求められます。
3つ目は、変化に抵抗感がある人々も含めて、グループやチームなど組織の様々な領域を結びつけるハブとなっている人材です。ハブを起点とすることで、リアルタイムでの情報共有やフィードバックを増やし、カルチャー変革でのアジリティを生み出します。(回答者:酒井博史)

 

Q6 よりアジャイルな働き方の中で挙げられていた.「能力開発の機能を有するスクワッドやトライブの横串機能」とは、具体的にどのようなものでしょうか?

A6 Q5の質問への回答とも重なりますが、スクワッドやトライブへの横串機能であるチャプターは、特定の専門分野の人材をプールし各スクワッドへ人材を派遣することに加え、専門性や知識を組織的に培う役割を担います。具体的には、データサイエンスやUX(顧客体験)などの機能ごとにチャプターを構成し、チャプター・リーダーがメンバー育成やリソースマネジメントを実施します。(回答者:酒井博史)

 

Q7 仕事やプロジェクトの臨時性の増加に伴って、その成果・効果測定やPDCAのようなものはどう回っていきますか?

A7 成果・効果の測定ポイントがプロセス重視から結果重視に移り、一つの仕事を長期的にPDCAするのではく、結果が出る・出ない仕事を取捨選択していく見極めの力がより重要度を増していき、複数の仕事・プロジェクトを並走させることリスクを分散させ、結果的に成功確率を高める方向にシフトしていくものと考えます。(回答者:岡部雅仁)

 

Q8 「ニューノーマルな環境で社員を牽引するマネージャーへの支援強化」とは具体的にどういうものですか?

A8 多くのマネージャーがこれから”非対面環境下”で部下を管理していくという役割に適応していく必要があります。そのために、①非対面下でのマネジメントを行うためのテクノロジー習得、②上位職としての雰囲気や権威に依存しない新たなリーダーシップの開発 ③マネージャー自身の成長を促す定期的なコーチング等の支援などが挙げられます。(回答者:岡部雅仁)

 

Q9 「報酬設計」は具体的にどのように変えていくべきですか?

A9 会社も個人も大きな価値観の変革が求められる中、「アフターコロナの世界で自社が再定義するPurpose(目的意識)を体現する仕事、チーム、個人とはどのようなものなのか」。その点について共感性を得られる骨太の報酬ポリシーの再設計がより重要度を増すものと考えます。(回答者:岡部雅仁)

 

Q10 「危機下での短期対応」として列挙されていたこと(業績と報酬のバランスを管理する、毎日の小さな成功事例を報奨する、業績目標やインセンティブ制度を現実に合わせる)は平時でも必要だと思いますが、表現は同じでも平時と危機下では重みづけや意味する内容が異なるということでしょうか?

A10 危機下においては会社全体と個人の業績の見通しの不透明感が増し、社員は「自分の処遇や雇用が危ぶまれるのではないか」という不安が高まります。その不安を払拭するため、平時以上に会社の業績の見通しについて誠実かつ頻度高く共有を行い、個人の業績評価についても一定の猶予措置を設ける等の臨時的な対応が必要となることを指しております。(回答者:岡部雅仁)

 

Q11 求められる要件や評価が変化するということは、既存のアセスメントツールがあてはまらないということも出てくると思うのですが、アセスメントツールも見直す必要があるのでしょうか?

A11 オンラインツールなど診断項目が事前に設定されている場合は、その観点が新しい要件をカバーしているかを検証する必要があります。また、デジタル技術の進化により、ピンポイントなプロファイルに対するアセスメントが可能になり、ユーザーエクスペリエンスも大幅に向上しています。今後は、外部のプラットフォーム上で機動的に内製化するオンラインアセスメント(high-tech)と外部の専門家が深い洞察を提供するhigh-touchアセスメントを、目的と対象により組み合わせることが重要になります。(回答者:増田智史)

 

 

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