コーン・フェリーでは2020年5月15日に「日本の人事部HRカンファレンス2020春」にAGC様と「エンゲージメントを飛躍的に向上させ『人財で勝つ会社』へと突き進むAGCの取り組み」と題するオンライン講演を行いました。そこで寄せられた多数の質問に一問一答形式で回答します。

 

Q メーカーであるAGCが、商品や技術力でなく「人財で勝つ」というコンセプトを作った背景や理由は何ですか?

AGCグループでは、長期的な成長戦略として「2025年のありたい姿」を策定し、コア事業が確固たる収益基盤となり、戦略事業が成長エンジンとして一層の収益拡大を牽引する高収益のグローバル優良素材メーカーとなることを掲げています。この「2025年のありたい姿」を実現するためには、目的を共有した多様な人財がお客様に対して高い価値を生み出す仕事に取り組み、市場での競争を勝ち抜くことが重要となります。これを踏まえ、AGCグループは「人財で勝つ」会社、すなわち「一人ひとりが持てる仕事能力を最大限に発揮し、個々人の総和が強い組織をつくりだし、事業戦略や組織目標等が実現され、会社と個々人の成長を生み出す」会社を目指しています。(AGC回答)

 

Q エンゲージメント調査を導入する際、経営層の理解が必須かと思いますが、経営層からの指示だったのでしょうか、それとも人事部門や現場からの提案だったのでしょうか?

2005年、当時の社長が掲げた主要イニシアチブの一つにEmployee Satisfaction(従業員の働きがいと誇りの向上)があり、ES調査として従業員意識調査をスタートしました。なお 、昨年2019年に第6回調査を実施するにあたり、名称を「ES調査」から「エンゲージメント調査」へ変更しました。(AGC回答)

 

Q エンゲージメント調査を提供している企業は種々ありますが、現在のサーベイを使用された背景を教えていただけますか?

2010年より、コーン・フェリーの前身のヘイグループにエンゲージメント調査を依頼しています。以前からお付き合いがあり弊社のことをよくご理解いただいていたこと、前回と同じチーム体制でエンゲージメント調査を実施できること、調査後の打ち手が豊富にあることなどが決定要因となりました。(AGC回答)

 

Q 部門トップに対して事前ヒアリングと調査報告を行ったとありましたが、どういった人たちが対象ですか?

事業部門長、職能部門長を中心とした人たちが対象です。事業部門長については、数千人から1万人を超す規模の組織のトップということになります。(AGC回答)

 

Q 調査マネジャー向け説明会とは主に現場への協力依頼を目的としたものでしょうか? また、これを実施することでどのような効果が得られたかも教えてください。

各部門から1~3名ずつ調査マネジャーを選出してもらい、調査設計段階で2回、調査実施時に1回、調査のフィードバック時に1回の計4回の説明会を実施しました。効果としては、現場の代表者を通じて現場に落とし込むことで当事者意識が芽生え、しっかり納得した上で現場に回答してもらえたということが挙げられます。(AGC回答)

 

Q 調査は3年おきに実施ということですが、パルスサーベイのような短いサイクルでの調査を並行して行っていますか?

コーポレート人事部門が主導で行う大規模調査は、人事関係者および現場への負荷を考慮し3年おきに実施しています。ただ、大規模調査後に部門によって個別にパルスサーベイを実施している組織もあります。人事としてもエンゲージメント向上活動の一環として、部門の要望に応じて支援を行っています。(AGC回答)

 

Q エンゲージメント向上による具体的なメリットについて教えてください。例えば、離職率や新規事業開発にも効果はあるのでしょうか?

エンゲージメントは長期的な企業の業績向上との相関性が立証されたフレームワークであり、会社との強い結びつきと自発的努力を発揮する社員の人数を一人でも多く増やしていく取り組みです。よって、短期的には離職防止や現場作業の改善活動の活発化、長期的には新規事業開発や既存事業の向上にも効果があります。(コーン・フェリー回答)

 

Q 個別の設問に対して、例えば組織開発に関するものなどの設問条件はつけていますでしょうか?

設問条件は設けていません。全体の設問パターンが増えると管理が煩雑になりますので、コントロール可能な数に絞っています。(AGC回答)

 

Q 42,000人分のアンケートを集計するのは大変だと思いますが、調査期間を短縮できた秘訣を教えていただけますか?

前回調査から一律Web回答形式に変えたことで、集計作業が自動化されるなど調査にかかる手間はかなり省力できました。一部の現場からはWeb形式に消極的な意見も出ましたが、スマホでの回答方式を採り入れるなどし、経営陣もWeb形式への切り替えを後押ししたことで実現しました。(AGC回答)

 

Q Web形式に変更したことで、工場で働くPCを持っていない従業員などに対してはどのように対応されましたか? また、派遣社員も調査対象としましたか?

共用のパソコンや、個人所有のスマホでの回答を認めて対応しました。調査対象はAGCが直接雇用する人のみです。(AGC回答)

 

Q 中間管理職含めたマネジメント層のエンゲージメントはどの程度向上していますか?

今回の調査結果をみると、スコアの高い、低いはありますが、職場のリーダーシップの発揮度合いを始め、エンゲージメント向上に影響を及ぼす多くのカテゴリーについて、前回より明らかに改善していることがわかりました。(AGC回答)

 

Q 調査前に部門長からヒアリングした内容を結果レポートに反映させた、という部分をもう少し詳しく伺いたいです。

部門のトップが課題視していることを事前にヒアリングし、仮説を立てた上で結果レポートに反映させ、説明会ではそこにフォーカスして議論しました。例えば部門で取り組んでいる風土改革は効果が出ているか、といったことです。そこにフォーカスした個別レポートをコーン・フェリーに作成してもらい、それを使用して説明したところ納得感が高まりました。(AGC回答)

 

Q 世界平均と比較しようと思った理由はなんでしょうか? 国民性や文化の違いもあるので、比較する意味があまりないようにも思います。

AGCは、従業員の約7割が日本以外で働いているグローバルカンパニーですので、世界平均との比較を重視しています。(AGC回答)

 

Q エンゲージメント向上には中間層の巻き込みが重要と考えますが、中間層に対して経営陣もしくは人事部門から何か働きかけはされましたか?

調査結果が出た後のミーティングで、現場のリーダー層が従業員に対して結果を丁寧に共有できるよう、スモールミーティング実施ガイドブックを多言語で提供したり、1 on 1をうまく実践できるよう、1 on 1ガイドブックを提供したりもしました。また、調査実施前に部門トップへヒアリングを実施し、トップを巻き込んだ上で一枚岩になっていたことで、調査マネジャーが中間層や現場に対して力強く指示が出せたのも成功の大きな要因と考えています。(AGC回答)

 

Q 改善課題の抽出については、人事はどの程度介入されるのでしょうか? 各リーダーにイニシアチブを全面的に与えているのでしょうか?

基本的には、現場に主体性をもってもらうようにしています。ミーティングなどもリーダーたちが当事者意識をもって実践できています。過去に5回も調査を実施しているので、エンゲージメント・マネジメント・サイクルのうまい回し方が社内に蓄積されているというのが大きいと思います。(AGC回答)

 

Q 対話会で出た社員の要望や意見はどういった形でフィードバック、反映されるのでしょうか? 意見を出しても何も変わらないと思われると、逆にエンゲージメントが下がるといったこともあると想像しますので、対応のスピード感含めてご教示ください。

トップとの対話会等で出た意見や要望については、部門長や関係会社トップにフィードバックし何らかの回答アクションをしてもらうようにしています。組織内だけで解決できないことは、関係部門長にレポートされるなど、解決する仕組みができあがっています。仰る通り、意見を言わせておしまい、とならないにすることが大事だと思います。(AGC回答)

 

Q 調査後の施策打ち出し部分で経営陣へのアプローチ含めて、どのように進めていらっしゃいますか?

各部門でミーティングを実施し、それぞれでエンゲージメント向上施策を実施しています。現場で解決できないものについては、上位組織に要望としてあげて施策の検討、回答を行います。職場単位、階層ごとに議論し、エンゲージメント向上活動の目的と役割を明確化するなど、エンゲージメント・マネジメント・サイクルを着実に回すことが肝要です。(AGC回答)

 

Q 人事としてどんな指標や基準をもとに成果が出たとしていますか?

職場を良くしたり、エンゲージメントを高めたりするのは人事だけでできることではありません。とはいうものの、社員の仕事に取り組む意欲も、社員を活かす環境も、多分に人事が関与する要素があるので意識はしています。また、調査対象者の拡大や回答率向上といった項目は、人事の働きかけが必要であり、重視すべき指標と捉えています。(AGC回答)

 

Q 組織開発やエンゲージメント向上の取り組みは「立ち上げ」と「マンネリ防止」がカギかと思いますが、それぞれで工夫したことはありますか?

2005年に調査を立ち上げたのは前述の通り、トップダウンによるものです。ただ、その後はただ継続するのではなく、これまでの調査の検証を行い、今回どのような調査を行い、調査後のエンゲージメントの向上活動に結び付けて行くかを徹底的に議論しました。経営陣からは、エンゲージメント調査は組織の定期健康診断なのだから継続して経年変化を見ること、現場の声をフィルターなく吸い上げる唯一の手段なので絶対必要だということで、コミットを得られています。マンネリ防止策の一つとして、時代に合わせて調査の意味や意義を更新するようにしています。以前は従業員満足度の向上を目指していたのですが、今ではエンゲージメントを向上させる取り組みへとアップデートし、単なる繰り返しではないと現場にも周知しています。(AGC回答)

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