コーン・フェリーでは、202051819日に「2日連続シリーズ アフターコロナの人と組織」と題するオンラインセミナーを開催し、多くのお客様に視聴され、好評を博しました。以下はレコーディングとセミナー時に寄せられた主な質問とその回答です。追加でご質問などございましたらコンタクトフォームよりお問い合わせください。

 

 

■バーチャル環境での働き方

Qコロナ禍は一定期間の間に収束する予測が出ていますが、企業が今後もリモートワークを推進する必要はあるとお考えですか?

確かにコロナ禍は一定期間に収束するでしょう。しかし、今まで難しいとされてきたリモートワークに多くの企業が一斉に取り組んだことには大きな意味があります。ある調査によると、リモートワークを実際に体験したビジネスパーソンの多くは満足度を感じたという結果が出ています。今後、日本の労働人口が減少していくなかで、働きやすさや社員満足度は人材マネジメント上、重要なポイントになります。フルリモートワークとまではいかなくとも、適度なオフィスワークとの組み合わせは、今後の日本企業が検討すべき重大な論点になるのではないでしょうか。(回答者:加藤守和、剱持祥夫)

 

Q アセスメントやコーチングをオンラインで実施しても効果があったという話がありましたが、どういう工夫、対面時と違うやり方をしたのか、もう少し具体的に教えていただけますでしょう?

インタビューによるコンピテンシーアセスメント手法が確立された40年前から、電話での実施も想定していたため、手法自体には対面とオンラインでの違いはありません。ただし、現在のコロナ禍では急速にオンライン化を進めている企業・個人が多いため、使用するツールの動作確認には事前に入念な準備が必要です。無理に最新のビデオ会議システムを使わなくても、従来の電話会議システムで十分実施可能です。特にコーチングの場合には、画像があると内省に集中できないこともあるため、ビデオ会議システムが活用可能でも音声のみで実施する場合も多くあります。(回答者:柏倉大奏、柴田彰)

 

Q 「オンライン育成施策を成功させるポイント」の中で、人材育成モデル「ACI」のご説明がありましたが、もっと詳しくご説明いただけますか?

特定のジョブで成功する要件として、コーン・フェリーではAccountability(職務の責任範囲)、Capability(職務に求められる能力)、Identity(その職務を楽しめる資質・ポテンシャル)の3つを、整合性をもって明確にすることが重要だと考えています。それをフレームワーク化したものがKorn Ferry ACIモデルです。Accountabilityは「私たちは世界にどう貢献するか」、Capabilityは「私たちは何ができるのか」、Identityは「私たちは誰か、私たちを動かすものは何か」を整理することで、人材の能力を最大化しようというのがポイントとなります。(回答者:柏倉大奏)

 

Q 営業活動から対面が失われることで、ここまでの個人のイメージがプロモーション等にバイアスをかけませんか?

ご指摘の通り、非対面の営業活動が浸透することで、顧客のこれまでの営業個人へのイメージがバイアスになる可能性があります。効果的な非対面での営業活動を実践するには、そのイメージやバイアスを打破するほどの活動レベルの違いを伝え、見せなければなりません。そのためには顧客の期待を上回るパースペクティブを提供するというマインドセット、また実行を促す営業プロセスが重要となると考えています。(回答者:野見山健一郎)

 

Q 営業の標準化は、優秀な実績を上げている人の良さを消すことにはなりませんか? プロセスだけ標準化してやり方は各自に任せる、という感じですか?それであれば対面でも非対面でも同じことが言えませんか?

今後、非対面営業が浸透すると購買者側の期待を上回る情報提供、提案活動ができない営業は顧客との商談さえも設定できない可能性があり、優秀な営業との差がより一層大きくなる可能性を含んでいます。そのため、これまで経験、感性で優秀な営業が暗黙知として行ってきた顧客を中心とした情報収集、分析、活動プラン、実践という本質を体系化し可視化することで他の営業も同様の思考へとシフトさせていく、またその思考プロセスに沿ってコーチングを実践するということが標準化のポイントと考えています。(回答者:野見山健一郎)

 

■有事のリーダー像

Q コロナ前とその後で、リーダーの資質は具体的にどう異なるのでしょうか? 本質は変わらないのではないかと思いますが。

近年、多くの企業が破壊的な変化に直面し、リーダーに求められる資質・能力はシフトしていました。コロナ危機はこの動きを加速させる結果となり、時代が求める新しい像のリーダー確保が急務となりつつあります。コーン・フェリーでは新しい時代のリーダー要件をSelf-Disruptive Leaderとして定義しましたので、こちらをご参照ください。(回答者:増田智史)

 

Q 現在の状況下で特に求められるリーダーシップスキルは何でしょうか?

コロナ禍のような社会問題下において、リーダーには事業課題を解決する「事柄(Business)」の対応力に加えて、自己変容を促す「ヒト(People)」の対応力も重要になります。そしてその前提には「自身(Self)」の理解とコントロールが求められます。コロナ禍はLead Business, Lead People, Lead Selfというリーダーシップの三要素のうち、個人としてどの領域が特にチャレンジになっているかを振り返る良い機会ともいえます。(回答者:柏倉大奏)

 

Q コロナ後の世界に求められるリーダーの8つの資質という話がありましたが、これらの資質はコロナ以前にも求められていたもので、コロナ後に限った話ではないのではないでしょうか?

コロナ禍以前から、経営環境の不確実性が高まってきていましたので、経営者などのリーダーに求められる資質は、コロナ前後で共通している部分が多いかもしれません。ただ、そうした資質を有するリーダーを確保しようとする企業の真剣さが、以前よりも明らかに増していると感じています。(回答者:柴田彰)

 

■アフターコロナの組織

Q アフターコロナではジョブ型制度へ移行する流れを感じていますが、旧来の日本企業にはとてもハードルが高いのではではないでしょうか?

従来のメンバーシップ型人事運用から、ジョブ型人事運用に切り替えていくのは、決して簡単なことではありません。しかし、コーン・フェリーでは日本企業を対象に数多くのご支援を通じて、制度改定の勘所も分かりつつあります。実際にお悩みの場合には、ぜひご相談ください。(回答者:加藤守和)

 

Q アフターコロナではジョブ型人事がスタンダードになると推測しています。セールスでは売上・利益など直結するジョブがあり分かりやすいですが、バックオフィスのジョブとなるとどのようなことがあるのでしょうか?

企業の中には、直接、売上・利益に貢献する仕事(ジョブ)もあれば、そうではない仕事(ジョブ)もあります。バックオフィスは基本的に支援業務になります。多くの支援業務は「確実に遂行することが期待される業務」ですが、顧客のためのプロセス改善や効率化など、間接的にでも売上・利益に繋がる仕事はバックオフィスの仕事(ジョブ)の範疇に入るのではないでしょうか。(回答者:加藤守和、柴田彰)

 

■危機時の人材マネジメント

Q コロナ禍の現在、グローバルでは昇格を見送る企業が増えているというデータを示しされていました。ジョブ型制度の観点から、昇格の見送りは制度との整合性がとれていないようにも受け取れませんか?

現在の状況下は緊急時であり、通常のルール外の適用をしなければならない企業が増えているという状況かと思います。昇格による動機付けよりも、優先度としては固定費の上昇抑制を優先せざるを得ない企業がグローバルでは出つつあるとご理解いただくと良いかと存じます。(回答者:加藤守和)

 

Q ビフォアーコロナでは、人手不足などから高齢者活用がトレンドとしてあがっていましたが、コロナを契機にどのように変わっていくでしょうか?

人材の需給のミスマッチは、原則、事業上の要請から生まれてきます。ビフォアーコロナでは景気が比較的堅調であったため、人材活用の一環として高齢者活用が脚光を浴びていました。当面は世界経済の低迷を受け、活用促進の動きは凍結されると推測されます。ただし、日本の生産人口は減少傾向にありますので、アフターコロナで経済活動が再開した際には、再び人材需要は高まり、高齢者活用のトレンドも出てくるでしょう。(回答者:加藤守和、柴田彰)

 

Q 「非常事態の“今”行うべき社員エンゲージメント強化の10の視点」の8つ目「報酬や業績評価への対応方針を示す」について、業績の見込みが立たない状況でなかなか示すことができずにいます。具体的な対応方針の示し方として、参考になる事例がありましたらご教示ください。

ポイントは3つあります。1:会社全体と各現場の業績に対する方針を一致させる。2:業績に関する現状認識と今後の方針を社員に共有する頻度を高める。3:報酬削減を検討する際には上位層から行い、リーダーが"痛み"を率先して引き受ける姿勢を示す。これらが重要だと考えます。(回答者:岡部雅仁)

 

Q ニューノーマルに向けて日本らしさがなくなるとの危惧をよく聞きます。それを守るものがパーパスやエンゲージメントになるのでしょうか?価値観を変える訓練が必要になると思いますが、どのように対応を考えておられますか?

ニューノーマルな世界においては確かに過剰な報・連・相や忖度といった「日本人の美徳ではあったが、実は無駄であった」という事象が顕在化すると考えます。空間や雰囲気で人材を惹きつけられなくなる環境においては、むしろ会社や事業そのもののパーパスがエンゲージメントにより強く影響を与えるため、多くの日本企業が"ニューノーマル×日本らしい"パーパスを更新する必要に迫られると考えます。(回答者:岡部雅仁)

 

Q ビジョンの共有化の重要性は理解していますが、経営層に対してその重要度を共有し実行を促す難しさに直面しています。何かご助言いただけましたら幸いです。

危機の前半戦においては、自社のPurpose(存在意義)に着目し、社会にどのような貢献を提供するかについて共通認識を持つことが重要です。底が見えない状況下で明るい将来像を語っても、現実を直視していない印象を与え逆効果になる懸念があるからです。経営陣に対してはパーパスが綺麗ごとではなく厳しい状況下で舵取りをする上での錨であり、これがないと経営判断に対する賛同が得られないことを伝えることが有効です。全員が納得する正解が存在しない局面だけに、判断の拠り所が必要であり、パーパスが錦の御旗の役目を果たします。(回答者:増田智史、滝波純一)

 

Q 日本人は一般的にハイコンテクストと言われますが、バーチャルな仕事環境ではリーダーはローコンテクストであることがこれまで以上に要求されるのでしょうか? もしそうだとすれば、日本人がローコンテクストなコミュニケーションに順応するためのアプローチにはどのような工夫が考えられますか?

バーチャル環境ではメッセージの明確さ・受け入れやすさなどリスナー・フレンドリーな配慮は対面よりも必要になりますが、そうしたコンテクスト依存しないスキルやテクニックは習得可能です。日本人リーダーのコミュニケーションも、昨今のグローバル化や人材の多様化の中で以前ほどコンテクスト依存(言わずもがな・暗黙の了解)はしない傾向になっていたと思いますので、ニューノーマルでの効果的なスキルとの認識ができれば実行できるようになると思います。(回答者:今井亜紀、柏倉大奏)

 

Q エグゼクティブアセスメントについて、セーフティスペースが確保され、解放された気持ちで臨むことで本来の能力を見ることができる反面、緊迫した場面での対応が見えなくなることもありませんか?

アセスメントの目的と手法を見極めることが大切でしょう。シミュレーションアセスメントのように、意図的に負荷をかけてストレス下での行動を観察する目的の場合には、あえて緊迫する環境を作り出す手法を採用することが必要になります。(回答者:柏倉大奏)

 

Q トランジションの際のコーチングやアセスメントは、アウトプレースメント会社のコンサルテーションとどう違うのですか?

従来型のアウトプレースメントのコンサルテーションは、キャリアオポチュニティーに対する情報提供や面接等のトレーニングなどが中心です。トランジションにおいては、それ以上に、アセスメント結果を活用した本人の強み・性格/動機特性を踏まえたキャリアコーチング(自分自身を見つめなおすきっかけの提供)や、次のキャリアで成功するための準備のためのコーチング、場合によっては転職後のオンボーディングのコーチングなどが含まれます。(回答者:滝波純一)

 

Q プロフェッショナルサーチによる人材採用支援について、もう少し具体的にご教示いただけますか?

エグゼクティブサーチが経営層のポジションに特化した人材サーチを行うのに対し、プロフェッショナルサーチは一階層下のポジション、即ち部長やダイレクターレベルのポジションに対する人材サーチを行います。方法論はエグゼクティブサーチと同様、まずはクライアントのビジネスや事業課題を理解し、求められる人材要件を把握した上で、同ポジションに相応しい人材をマーケットから探し出し、リテイナーベース(成功報酬アプローチではなく)で、クライアントに紹介します。(回答者:五十嵐正樹)

 

Q アフターコロナで日本企業はどう変わらなければいけませんか?

非常に大きくかつ本質的なご質問で、本欄ではカバーしきれない面があります。このテーマを中心としたオンラインセミナー「ニューノーマルな時代に向け、人と組織はどう変わるべきか?」6月19日に企画しています。アフターコロナの組織、業務、人、リーダーシップについて、先進事例も交え、日本企業にとっての示唆・参考情報をご提供予定です。『Korn Ferry Focus』でもご案内予定ですので、ぜひご参加ください。(回答者:滝波純一)

 

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