エンゲージメントケーススタディ集
Step5:アクション
エンゲージメントを向上させるためには、現場のマネジャーの協力が必要不可欠であるが、実際は業務に追われ、なかなか改善活動に取り組むことが難しい。では、どのようにマネジャーを巻き込んでいけば良いのか。化学メーカーB社の事例を紹介する。
会社の方針や理念を伝えていくことが最優先事項
しかし、本当に社員に浸透しているのか、きちんと理解・共感してもらえているのかが分からない状況であった。特に、若手社員から理念やビジョンに関する発言が日ごろ見られず、どこかの階層でボトルネックが発生していることを懸念していた。そこで、社員の意識を可視化し、次の浸透施策のヒントを得るために社員エンゲージメント調査を実施することにした。
社員エンゲージメントと理念・ビジョンとの関連性
まず、社員エンゲージメント調査の位置づけの検討から取り掛かった。当初の目的は理念やビジョンの浸透度を測ることであったが、理念・ビジョンの具体的な内容を見てみると、社員第一主義、変革へのチャレンジ推進、顧客への価値提供など、コーン・フェリーの社員エンゲージメントのフレームワークに近い内容が多いことが分かった。そのため、コーン・フェリーの標準設問で総合的に当社の状況・課題を確認しつつ、理念・ビジョンの浸透度に関する具体的な内容を独自設問として設計した。
トップメッセージによるエンゲージメント調査のブランディング
また、経営層はエンゲージメント調査の結果を読み込み、全員分のフリーコメントに目を通した。部門ごとに課題仮説を立て、それを部門長とディスカッションすることにより、仮説の精度を高めていった。経営層自らも汗をかき、重要テーマとして取り組みを展開した。

事務局からマネジャーへの丁寧なサポート
また、マネジャーが自組織の課題を突き止め、アクションプランを作成するためにワークショップを実施するアプローチをとったが、事務局でワークショップのための教材を作成し、全社に展開をした。特に、職場のメンバーとディスカッションすべきテーマを定めることで、ワークショップの苦手なマネジャーでも取り掛かりやすいよう配慮した。
まずは事務局が率先してアクションを取り、周りを巻き込んでいく
本事例から学ぶべきポイント
エンゲージメント調査の重要性を繰り返し発信することで、全社課題とする。「やったらやりっぱなし」であったり、トップメッセージも一度発信して終わってしまっては、本気度は伝わらない。
“やり損”や“逃げ得”のような雰囲気が漂っているとマネジャーは動かない。サポートの手間を惜しまず、自ら率先してアクションを取ることでマネジャーの共感を得る。