コーン・フェリーの柏倉大泰 (かしわくら・ともひろ)です。
9月最初の週末は100年に一度といわれる台風10号が発生し、これまで経験したことがない暴風・大雨が予測され最大級の警戒が呼びかけられる中、多くの方がマスクを着用して三密を避けながら避難することを余儀なくされました。コロナ禍の収まる気配が見えない中で、わたしたちにはこれまで経験したことがない出来事を常にウィズコロナでマスクをつけたまま乗り切ることがしばらくは求められるのでしょう。

管理職の役割 = 成果創出のサポーター
これまで経験したことがない出来事に対処していくことが求められるウィズコロナの環境下では、過去の成功に基づいて確立されたプロセスを管理するだけでは、必ずしも成果につながりません。管理職は、リモート環境下で勤務する部下の業務プロセスを厳格に管理するのではなく、各人が置かれた文脈の中で支援を提供することで成果を最大化することが求められています。しかし、これまで経験したことがない状況で成果創出を支援する上で、まったく手掛かりがない訳ではありません。コーン・フェリーのリーダーシッププログラムには世界で毎月約10万人の方々にご参加いただいていますが、活躍している社員のコンピテンシーを見ると、コロナ禍前後でこれまでのところ大きな変化は見られません。そのため、これまでのデータをもとに成果創出につながる可能性の高いコンピテンシーの発揮を優先的に考えることはコロナ禍においても依然として有効といえます。コーン・フェリーの研究によると、成果の40%から60%程度がコンピテンシーにより説明できるとの分析結果がでています。※2

若手社員のコンピテンシー: 自己を知り周囲と連携し誠実・直実にやり抜く力
過去50年以上に亘る約700万人のデータをもとにしたコーン・フェリーのデータベース※1によると、若手社員(エントリーレベル)で高い成果につながるコンピテンシーは以下の5つです。
• 成果の創出: 厳しい状況にあっても着実に成果に結びつける
• 信頼の獲得: 正直で、誠実、率直な行いで他の人からの信用と信頼を獲得する
• 自己認識: 周囲からのフィードバックと自己の振り返りを通して、自分自身の強みと弱みについて有益な気づきを得る
• 責務の遂行: 約束を果たすために自分で責任を持ち、他の人にも責任を持たせる
• コラボレーション:共通の目標を達成するために、周囲と信頼関係を構築し、協力して業務を遂行する
管理職として若手社員を支援する上では、自己認識が高まるようにフィードバックをもらうことの大切さを伝えつつ、周囲と約束した責務についてはきっちりと成果に結びつくまでやり抜くよう伴走し、若手社員が信頼を獲得できるよう支援することが重要です。

初級管理職のコンピテンシー: 自己を高め矛盾に臆さず前に進む力
成果創出の支援をする側の初級管理職で高い成果につながるコンピテンシーは以下の5つになります。
• 成果の創出: 厳しい状況にあっても着実に成果に結びつける。
• 信頼の獲得: 正直で、誠実、率直な行いで他の人からの信用と信頼を獲得する
• 複雑な状況への対処: 複雑で大量の、ときには相互に矛盾する情報について把握したうえで効果的に問題を解決する。
• 行動指向: 新しい機会や厳しい課題を緊急感、高いエネルギー、熱意を持って引き受ける。
• 自己啓発: 公式・非公式の学習する機会を活用しながら、自分の成長のためにチャレンジできる新しい方法を積極的に探す。

経営幹部と社員の板挟みが宿命の初級管理職自身には、困難においても自身を奮い立たせる動機付けも含めた弛まぬ自己研鑽に励みつつ、相矛盾する状況においても思考停止に陥ることなく前のめりで成果を追求することが重要となります。

ジョブ型人事における成果創出の鍵 = コンピテンシーの目利き
こうしたデータに基づく定石を踏まえつつ、個別の仕事・ヒトごとに置かれた状況に応じて優先的に発揮すべきコンピテンシーを見定めて部下を支援していくことが、ジョブ型人事において管理職には特に求められます。そのため、これまで経験したことがない状況においても部下ひとりひとりの直面している仕事やヒトに関心を示すことが成果創出の第一歩といえます。
「風の谷のナウシカ」の主人公ナウシカのようにマスクをつけた状態で世界の謎を解き明かすほどの探求心は必要ないかもしれませんが、少なくとも部下の成果創出につながるコンピテンシーを解き明かすぐらいの探求心はマスクをつけた管理職にも必要かもしれません。

※1 Korn Ferry Leadership Architect, Global competency framework
※2 Korn Ferry White Paper ““Define. Distill. Deploy”

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コーン・フェリー・ジャパン プリンシパル

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